渡辺芳遠先生の
熊野の素朴な神仏あれこれ

地蔵信仰のお話
自然崇拝のお話

news 2012.6

庚申塔(こうしんとう)

 一.青面金剛のお話

 仏教護法の主神・帝釈天とともに“青面金剛(しょうめんこんごう)”は六臂(ろっぴ。6本の手の意)が武器を持ち、怖い顔をして悪鬼を踏み、上部に太陽と月、下部に三猿(見ざる、聞かざる、話さざる)を従えて、集落の入り口や古道のほとりに立っています。これが庚申塔です。

 その集落の人々を護り、道行く人々の安全もはかっています。

 二.熊野古道の庚申塔

 熊野古道はもちろん、古道周辺の集落には多くの庚申塔が立っています。熊野市内だけで実に100は数えるかと思います。1800年代のものが多く、金山町には各小集落ごとにありますし、丹倉にもあります。御浜町神木の三叉路の角や、同じく御浜町下市木のものも立派ですし、平谷の庚申塔は、1740年に建てられています。庚申塔は三猿の他に鶏がいたり、文字だけのものもあるなど、とてもバラエティに富んでいます。

 さて、庚申塔は、神道の猿田彦が本尊とも言われています。つまり庚申さまは、仏教、道教、神道など神仏習合の神様、日本独自の民間信仰と言えましょう。

 熊野にまだ残る風習は、この庚申さまを縄で縛りに行くことです。物を失くした時、庚申さまを縄で縛ると失せ物が現れると言われているからです。そうすると、なかなか出てこなかった物がしばらくして出てくるので不思議です。探し物が見つかったら、縄を解きに行ってお礼参りも忘れずに。

 

 三.「庚申」とは  〜干支のお話〜

 人間は時間と空間の中で生活しています。その時間と空間を表すのに、昔の人は無味乾燥の数字より、自然を含んだ干支(えと)を用いました。時間は年・月・日・時などであり、空間は東西南北などです。

 さて、庚申は、「こうしん」、また「かのえさる」と読みます。

 中国の五行説でこの世の根本は
●<木、火、土、金、水(もっかどごんすい)>、
●十干の<甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)>、
●十二支の<子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥>
と考えられています。十干の、「甲乙」、「丙丁」、「戊己」、「庚辛」、「壬癸」の組み合わせはすべて「え(兄)・と(弟)」と読みます。木火土金水と組み合わせて、「木甲(きのえ)」、「木乙(きのと)」となるのです。

 この、十干と十二支の組み合わせは60通りありますので、「庚申の日」というのが60日に一回巡ってくるわけです。

 四.庚申の夜、三尸の虫のお話

 道教では、人間の腹の中には三尸(さんし)の虫というものが住んでおり、「庚申の日」の夜になると天に行き、天帝に自分が住んでいる主人の行為を報告すると言われています。良い行為であればその主人に福がもたらされると言われ、悪い行為であれば災いがもたらされる、と言われています。大小ありますが、悪い行為をしていない人はなかなかいないもので、そこで、庚申の夜は三尸の虫が天に行かぬよう皆で酒を飲み、料理を食べ談笑して、親睦も深めました。それが60日に1回の庚申の夜です。


 渡辺芳遠 氏

 三重県南牟婁郡御浜町。若い頃に東洋哲学を学び、仏門に入った経験を持つ。その後、50年以上教壇に立ち、哲学・文学・国語・歴史・仏教に詳しい。現代の社会問題や人の心のあり方など、世に常に疑問を投げかけ、紀南ツアーデザインセンターの連続講座をはじめ、様々な講義活動を行っている。


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