野を楽しむ達人の会 第二回例会 記録

『熊野信仰の原点を見る』
〜 實宝院と那智二の滝・三の滝 〜

実施日:平成18年3月18日(土)

場所:那智勝浦町 實宝院・那智原生林 

参加者:7名(女性1名、男性6名)

 「熊野を楽しむ達人の会」は会員が協力し合うことでより深く熊野の魅力や熊野らしさを学ぶことを目的に、平成18年2月に設立されました。紀南ツアーデザインセンターが事務局を務めています。その第二回例会が、那智を舞台に開催されました。

第二回例会のテーマは、熊野信仰の原点にある自然崇拝と修験者(山伏)の活躍を切り口にして、熊野信仰を見つめ直してみることでした。そこで修験道の歴史の中で重要な位置を占める那智の實宝院を訪ね、信仰の場である那智原生林に足を踏み入れてみました。

太古の昔から熊野には修験者たちが住みつき、彼らは山での艱難苦行の修行を通して自然の霊力を身につけようとしていました。そこには、滝、巨木、巨岩などに神が宿るとされ、特に那智においては生命の源である水を尊ぶ自然崇拝の影響が強く見られます。その後、長い年月の間に仏教や神道などの影響が加わり、次第に聖地としての那智が形成されていきました。

今回、最初に訪れたのは、實宝院の米良殖人氏です。實宝院はニギハヤノミコトを祖先とします。今日、「本宮」と言えば「ほんぐう」と読んで熊野本宮大社を指すますが、かつては「もとみや」と読んで實宝院のことを意味したそうです。平安時代に天皇の勅定により成立し、熊野を実質的に統括していた熊野別当の末裔が米良氏であり、その職は代々世襲されてきました。

米良氏から熊野信仰の発展の経緯、實宝院の成立から現在に至るまでの歴史についての解説を聞き、實宝院を始め宇井、鈴木、榎本のいわゆる熊野三党と呼ばれる修験者たちが歴史上果たしてきた役割を学びました。

続いて、熊野那智大社で正式参拝を行い、お祓いを受けた上で熊野那智大社の御神体である那智大瀧(那智御滝一の滝、二の滝、三の滝)のうち、那智原生林の中にある二の滝と三の滝を目指して歩きました。現在は熊野那智大社の許可なく出入りすることが禁じられています。那智原生林が神域であることを自覚し、一の滝の上流部では一礼をし、一切の汚れを残さないように注意しました。小雨が降り出し、すべりやすい足もとに注意しながらの歩行となりました。

 樹齢600年と言われる一の杉、今でも行場として使われている岩場、花山法皇が千日の修行をしたと伝えられる場所を過ぎ、一つ目の目的の二の滝に到着しました。一昨日の雨の影響か、豊富な水量があり、神聖さの中に力強さを感じる流れでした。

再び急坂を登り、巨木の林立する森を抜け、沢の際の岩を通り抜けて三の滝に到着しました。こちらも水量が多く、滝が生きているような感慨を覚えました。

帰路、雨が小降りになったかと思うと、にわかに日の光が射し込み、再びあたりに雲がたちこめました。変化の激しい春の天候の中でしたが、この日雨に降られたことを苦に感じなかったことは、おそらく全員に共通することだったと思います。

 予定通りに下山し、熊野那智大社に報告して一日の予定を無事終えることができました。参加者の方々の感想は次のようなものでした。

「普段入れないところに入れてよかった」

「實宝院の米良氏の話が興味深かった」

「昔の人の信仰心と“気”を感じながら歩いた」

「特に二の滝で強い“気”を感じた」

「熊野に生まれ育ったが、今日は改めて熊野の良さを感じた」・・・など

 観光として那智を訪れても見ることができない熊野の歴史と、時代を超えて存在し続けている信仰に触れることできました。三重県では熊野古道伊勢路を多くの人が歩くようになりましたが、昔から人々はこれを目的に熊野を目指したということを忘れてはなりません。

熊野信仰の原点を見るという難しいテーマでの旅でしたが、熊野らしさを身体で体感するという意味で、「熊野を楽しむ達人の会」の例会にふさわしい、味わい深い一日を過ごすことができたと思います。

(記録 橋川)

以上


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